INTERVIEW

【EFC AWARD受賞企業インタビュー】「人を育てる文化がある」福岡から、エンジニアのグローバル・スタンダードをつくる

株式会社マネーフォワード 福岡開発拠点長黒田直樹さん

株式会社マネーフォワード エンジニアベネディクト・リムさん

黒田さん(左) リムさん(右)

2021年にEFC AWARD 企業部門賞を受賞した株式会社マネーフォワード。福岡拠点は2017年12月に開設され、2021 年には福岡のメンバーが開発したプロダクトが全国リリースされるなど、着実に存在感を増してきています。その背景には、エンジニアが働きやすい制度づくりや、福岡の街の特性があるとか。
今回は、福岡開発拠点長の黒田さんとシンガポール出身のリムさんにインタビュー。エンジニアが持てる力を最大限に発揮するため、日々どのような取り組みをしているのかを伺いました。

地方拠点といえど、役割や責任は本社と同等

--本日はよろしくお願いします。まずは御社の業務内容と、福岡拠点の役割を教えていただけますか。

黒田: はい。マネーフォワードは、ITと金融を掛け合わせたフィンテック領域でのSaaS企業として、2012年に設立されました。個人向けの家計管理サービスから始まり、法人向けのバックオフィスクラウドサービス、金融機関向けのプラットフォーム提供などを行っています。福岡開発拠点は、東京以外での最初の地方拠点開設を検討していた時期に、都市の規模感や若い働き手の多さなどから選ばれました。私自身、福岡の出身で大学院まで福岡にいたので、福岡開発拠点開設のチャレンジに率先して手を挙げ、社員2名で2017 年12月から営業をスタートさせました。

--当時の福岡の、ITやエンジニアを取り巻く状況はどのようなものでしたか?

黒田: 2012年に福岡市の「スタートアップ都市宣言」があり、国家戦略特区に指定されてからは、福岡がITやスタートアップに強い街という印象が徐々に広がっていました。私たちが拠点を開設した2017年は、Fukuoka Growth Next(FGN)というスタートアップ支援施設もでき、LINE Fukuokaさんの設立などもあって、レベルの高いエンジニアがより福岡に集まるようになったと思います。

--福岡拠点の、現在のミッションや取り組みについて、教えていただけますか。

黒田: 地方拠点というとその地方内の営業・サービスだけを担う、東京本社のサポートとして機能する、といったイメージがあるかもしれませんが、当社は違います。拠点ごとにオーナーシップを持っていますし、プロダクトも拠点ごとに開発を行っています。 給与面など社員の待遇も、水準はまったく同等です。現在は、福岡で3つのプロダクト開発を行っており、そのうちの一つが2021年「マネーフォワード Pay for Business」として全国に向けてリリースされました。

仕事と子育ての両立を考えるなら福岡

--EFC AWARD 2021では、社内のエンジニアへの手厚いサポートが評価されました。具体的に、どんな制度があるのでしょうか?

黒田: 専門業務型裁量労働制 や育休制度、カンファレンス出席や勉強会への補助など、多くの制度や福利厚生を用意しています。また、中途採用を後押しする「リロケーションサポート」キャンペーンも人気です。いわゆるUIターン費用のサポート制度で、転職のため 首都圏や他の地方から 福岡をはじめとする当社の地方の開発拠点に入社いただく場合、入社後に一律50万円(税引前)を支給するという内容です。

--50万円は太っ腹ですね。

黒田: コロナ以降は、適用件数も増えてきましたね。社会全体でリモートワークへの理解が進み、首都圏に住み続ける必要もなくなった時に、住環境や子育てを考えて福岡を選ぶ人は増えたと感じています。

--ここからは、リムさんにも話を伺いたいと思います。リムさんは、東京でも8年ほど活躍され、子育て環境を考えて、福岡に移住したと伺いました。

リム: ええ。東京での仕事も充実していましたが、子育てをサポートしてくれる人が周りにいなくて、仕事と子育ての両立が難しいと感じていました。妻が福岡出身で、福岡に住めば両親のサポートもあるため、移住を検討している時に、マネーフォワードと出会ったんです。

--御社では育休取得率が女性で100%、男性でも51%あり、リムさんも育休を終えたばかりだそうですね。

リム: はい。会社からの承認もすんなり下りて、育児に集中できました。また職場復帰する際、自分が周りから置いていかれてないか不安だったんですが、本社の人事スタッフが復帰までこまめにサポートしてくれて、心の支えになりました。

--福岡の暮らしやすさや、エンジニアの働きやすさについて、どう感じていますか?

リム: よく言われることですが、人が優しく、食べ物がおいしくて、暮らしやすい街だと感じています。また福岡の企業は、中途採用でも人材を育てていく意思を感じますね。東京で転職をする場合、求人にぴったりのスキルを持っていなければ、採用に繋がりませんでした。でも福岡では、未経験でも意欲があればチャレンジさせてもらえます。マネーフォワードだけでなく、他企業での面接でもそう感じたので、福岡の企業の特徴なのかもしれません。

黒田: エンジニアにモチベーションを高く維持してもらうためには、成長機会を提供し続けることがとても大事なんですよね。技術を磨いてプロダクトに落とし込み、世の中に公表して、評価やフィードバックを得る。その繰り返しで、エンジニアはやりがいや自分の価値の高まりを感じます。もともと成長意欲の高い人が多いですから、未経験の分野でも積極的にチャレンジし、会社に新しい価値を運んできてもらえるようにサポートしたいと思っています。

リモート時代だからこそ、オフィスの役割を考える

--御社には、企業広報とは別に、技術広報という役割があるそうですね。どのようなことを担当するのでしょうか?

黒田: エンジニアの世界には、新しい技術を学び、シェアし合う文化があります。学ぶ機会を得るだけでなく、私たちから発信していくことも大事です。全社の技術広報の担当者が音頭をとって行うエンジニア向けのイベントの企画や運営のサポート、情報を発信しています。また、福岡開発拠点でもポータルサイトを設けて ブログでの情報発信などを行なっています。

--エンジニア同士のコミュニケーションを増やす施策として、取り組んでいることはありますか?

黒田: 当社の場合、リモートワークは取り入れていますがフルリモートではなく、週一度の出勤をルールにしています。やはりオフィス空間があって、そこでサービスに対するディスカッションや、技術的な情報交換などが気軽にできることが大事だと思いますので。新入社員とは、スリランカカレーを食べにいくことが恒例になっています。リモートワーク時代だからこそ、リラックスしたコミュニケーションができる場を大切にしていますね。

--社内だけでなく、エンジニア同士の勉強会やサークル活動、大学生インターンの受け入れ、さらにアビスパ福岡のスポンサー契約にはじまりオフィシャルDXパートナーへの参画など 、福岡のシーンにも積極的にコミットされていますね。

黒田: ええ。ここ数年は、コロナによって地元のエンジニアとの交流の機会が少なくなってしまったのが残念ですが、これからまた復活させていきたいですね。福岡の人は、新しい技術に敏感ですし、私たちのような外から来た企業やサービスも受け入れてもらえる感覚があります。福岡らしいエンジニア文化を作っていく気持ちで、取り組んでいきたいですね。

--最後に、福岡拠点の展望や、今後取り組んでいくことについて聞かせてください。

黒田: 当社はベトナムにも拠点を持ち、今後もグローバル化を推し進めていきます。福岡はアジアに近いという利点を活用して、グローバル化の旗振り役として、存在感を示していきたいですね。エンジニア部門は今後、英語公用語化を予定していて、就業時間を英語の勉強に当てられるような制度も整えました。

リム: 私は英語ネイティブなので、社内の英語化に責任を感じ、自分が率先して進めたいプロジェクトです。外国籍の仲間を増やしたいですし、いま取り組んでいるプロダクトも、使っているフレームワーク に関しては英語が公用語なので 、やはりエンジニアの世界で英語は避けて通れないと感じています。完璧に話せるよりは、コミュニケーションを楽しみ、異文化に興味を持つような雰囲気を 作って行けたらいいなと思います。

--今後のご活躍に期待しています。本日はどうもありがとうございました。

 

<黒田直樹(くろだ・なおき)さんプロフィール>
福岡県生まれ
2008年: 九州大学 大学院 修了。 マネックス証券株式会社に入社
2012年: 株式会コムナスを創業し代表取締役に就任
2013年: 株式会社マネーフォワードに入社
2017年: マネーフォワード執行役員 福岡開発拠点長に就任

<ベネディクト・リムさんプロフィール>
シンガポール生まれ
2011年: シンガポール国立大学 卒業
2012年: 来日し、株式会社ドワンゴに入社
2016年: 株式会社スクウェア・エニックスに入社
2018年: コイニー株式会社に入社
2020年: 株式会社マネーフォワードに入社

株式会社マネーフォワード 福岡開発拠点 WEBサイト
https://fukuoka.moneyforward.com/ 

取材・文: 佐藤渉、写真: (株)マネーフォワード提供

その他のエンジニア
インタビュー