【コミュニティインタビュー】 電子工作に可愛いが加わったら、きっと最強!
CuteeWorks(キューティーワークス) 代表山田美穂さん
福岡のエンジニア・コミュニティの中でも、異色の存在として知られていた「女子だらけの電子工作」。現在は「CuteeWorks(キューティーワークス)」と名を変え、老若男女が集まるコミュニティとして人気を集めています。管理者の山田美穂さんは、株式会社CenterQの代表取締役であり、エンジニアカフェのコミュニティマネージャーでもあります。バイタリティあふれる山田さんの活動について、ご本人に聞きました。
女性が安心して工作に打ち込める場を
本日はよろしくお願いします。まずは、山田さんの現在までの経歴について、伺えますか?
はい。 小学生の頃から兄の影響で電子工作に興味があり、パソコンを触ったりしていました。高校では母の影響で無線部に入って、アンテナを作ったり、コンテストに出たり、文化祭ではミニFM局を楽しんだりしていました。大学では電子工学系の学科に進み、最初の就職はシステムエンジニアとして働いていましたが、結婚を機に退職。その後は家事や子育てに影響がない程度に働いていましたが、3人目が生まれ当時勤めていた仕事を辞めた後、創作意欲が湧き始めて、はじめて参加したハッカソンに刺激を受けてエンジニアの勉強会に通うようになりました。 そこからものづくり好きの人々と出会う機会があり、Cuteeworksの前身であるコミュニティ「女子だらけの電子工作」を2016年にスタートさせました。
テーマを「女子だらけの」としたのには、どんな理由があったのですか?
とある勉強会で、一緒に参加する予定だった大学生の女の子から「先に到着していたのですが、男性しかいなくて…ジロジロ見られているような気がして怖くなって家に帰りました」と言われたことがありました。その他にも、IoTや電子工作の勉強会に興味はあるけれど、男性ばかりで入りにくいという声があり、私自身は好きなことに性別は気にならなかったのですが、女性が安心して参加できる環境が必要なんだなと考えるようになりました。逆に女性の人数が多かったらどうだろう? そういうの楽しいかも! と思い、「女子だらけの電子工作」を始めました。「女子だけ」じゃなくて「女子だらけ」で、当時から女子だらけの状況が気にならない男性も少人数参加されていました。試しに開催したら、すごく反響があって、回数を重ねていくうちに自然とコミュニティに育っていった感じです。
CuteeWorksと変更したきっかけは何ですか?
「女子だらけの電子工作」は完全に昭和のノリでつけた名前です。当時はまだよかったのですが、最近は女性が女子会や○○女子といった「女子」という言葉に若干嫌悪感を持つようになってきて、女性に喜んでもらいたくて始めた名前なのに、意図しない状況になりつつあると感じていました。キャッチーで愛着のある名前だったので葛藤はありましたが、運営のみんなとも話し合ってコミュニティ名を2023年に変更しました。私たちがこだわりたかったのは、「電子工作に可愛いが加わったら、きっと最強!」というコンセプトであり、性別や年齢や知識の有無は関係なく、可愛い電子工作に興味がある人が気軽に来て欲しいということなので。実際今ではさまざまな方に参加いただいています。
「可愛い」は人それぞれ!オリジナルが求められている!
具体的にどんな活動をしているのですか?
今年は電子オルゴールを回路設計から筐体まで一貫して設計しました(写真)。最近の技術としてフルカラー基板を作成できるメーカーが現れたので、両面フルカラーで各自オリジナルの基板を、ブラウザで動作するPCB CADで設計し製造してもらいました。またアンケートでは、筐体を設計したいとの要望が多かったので、3D CADを使って筐体設計も行いました。電子部品は、はんだづけではなくホットプレートで表面実装しています。うちのコミュニティは各自それぞれ自分の「可愛い」を追及していくスタイルで、オリジナルなものを作っています。
このコミュニティの他にも、いろんなコミュニティ活動をされていますね?
ええ、勉強会に参加するのが趣味なので(笑)、最近は半導体コミュニティがお気に入りでいろいろ楽しんで作っています。エンジニアカフェのコミュニティーマネージャとしては、コミュニティのイベントをサポートしたり、毎週水曜日にDiscord上でエンジニアさんたちと井戸端会議をするイベントを開催したり、Swift Playgroundsの15分勉強会、「水曜プロト」と称してプロトタイプを作ってみる会などを担当しています。YouTubeでの配信もしているので、地域も福岡から首都圏、年齢もバラバラな参加者で、毎回楽しくやらせてもらっていますね。自分だけこんなに楽しくて、申し訳ないなと思うぐらいです(笑)
とてもアクティブで時間が足りないのでは?と想像しますが、そのモチベーションはどこから来るのですか?
なんでしょうね、自分でもよくわからないのですが(笑)。「つくりたい!知りたい!」という衝動をおさえられないんですよね。あと、誰かがコミュニティ活動をきっかけに自分の作りたいものを完成させて喜んでいるのを見るのが、好きなんです。コミュニティでは、みんなでワクワクする体験をしたいと、いつも思ってますね。 ソフトウェアだけじゃなくハードウェアのコミュニティにもぜひ皆さん興味をもってもらいたいです!
今後の展望についても教えてください。
時代に合わせて進化していければいいなと思っています。私が勉強会に参加し始めた当初は、母親が夜に外出するなんてあり得ないこと、許されないことだと自分でも思い込んでいました。でも実際勉強会に参加してみたら、とても学ぶことが多く、「家事は母親がやるもの」と最初は受け入れてくれなかった家族も自然に協力して家事をするようにまで成長してくれました。この体験は私に必要なものだったなと本当に思っています。もし、あの時勇気をだして勉強会に参加しなかったら、今のワタシはありません。子育ても家事も、介護も趣味も仕事も全部やりたい! 欲張りなので(笑)そう思っています。これからも楽しいコミュニティ活動を続けていきたいですね 。
とっても刺激をいただく、素敵なお話でした。ありがとうございました。