INTERVIEW

「コミュニティの力が私を作った」

GMOペパボ株式会社 シニア・プリンシパル近藤 宇智朗さん

公開日:2018.11.14

福岡でエンジニアとして活動されている方へのインタビュー、記念すべき第1回は、GMOペパボ株式会社の近藤 宇智朗(うづら)さんにお話を伺いました。

-近藤さん、よろしくお願いします! ではまずはじめに、ご自身のPRできる点は?

近藤氏 よろしくお願いします。PRといえば…コミュニティに参加することで、幅広い知識が得られたと思います。技術的には二つの軸があって、一つはRubyという言語。Rubyを頑張った結果、Ruby会議という一番大きなカンファレンスで2回ほど話させていただけました。
もう一つは、インフラ系の技術の一つ、Linuxコンテナで、オープンソースとしての自分の作品「Haconiwa」が、県のフクオカRuby大賞をいただきました。

-Rubyと言えば、来春、福岡市でRubyの国際会議でのお世話役をされるそうですね。

近藤氏 そうなんです。国内外から1,000人も集まる国際会議の世話役をやることになって。大変ですけど、せっかくやるならと、懇親会にも趣向を凝らすつもりです。

-エンジニアとしてのスキルはどうやって身に付けたのですか?

近藤氏 やはりコミュニティの力が大きいです。僕は元々大学では国文学を専攻していたのですが、卒業後に入ったマスコミの会社でなぜか社内SEをやることになり、そこでプログラミングの面白さに目覚めました。ただ独学で、合ってるかどうか不安だったのですが、コミュニティに参加することで、自分のレベル感も分かり、努力もでき、インプットとアウトプットを繰り返すことで成長できました。どこかでモノづくりをしたいというのが自分にあって、プログラミングが性に合っていたんです。勉強すればするほど高度なものを作れますので、若手の方にもコミュニティや勉強会への参加を勧めています。

-今までで苦労したことを教えてください。

近藤氏 東京で小さいスタートアップの会社に入って、Ruby on Railsの開発をしたのですが、自分のやっていることが正しいかどうかがわからず、試行錯誤の繰り返しだったので、結構大変だったと記憶しています。

-尊敬するエンジニアは?

近藤氏 エンジニアとして見習っているのは、以前の上司であった宮下剛輔さん。ソフトウェアエンジニアリングや、アーキテクチャ選定選定の面で、僕自身、彼の考え方に影響を受けていると感じます。
もう一人、Aimingという会社に誘ってもらった方、藤村大介さん。自分が悩んだ時に、彼ならどう考えるだろうとすぐ頭に浮かぶ人です。彼は早稲田で哲学をやってエンジニアになった。僕も東大で文学をやってエンジニアになったので似ています。
エンジニアとしての立ち振る舞いが僕は好きで、藤村さんとは何かガッツリと一緒に仕事が出来たらいいなと思いますね。

-仕事以外での活動は?

近藤氏 子育てとゲーム(後日談ではインターネットも)ですね。僕の娘はモノづくりをする人になるのかなと思っていて、毎日絵をかいたりしてるので、同じ血が流れているのかなと思います。僕の父もモノづくりやってきた人で、欄間の職人をやっているんです。僕の兄も愛知の芸大を出て、画業で生計立てています。
あとはおいしい店を探すことですね。特にカレーとコーヒーが好きです。

-ちなみに、なぜ「うづら」さんなのですか?

近藤氏 高校生の時に本名(宇智朗=うちお)と同じく「う」で始まる名詞を探して適当につけただけで、はてなIDをうづら(udzura)で取ってからずっと使っています。ちなみに、「づ」にしているのは,当時ちょっとかっこいいと思ったからです(笑)。

-福岡で感じることは?

近藤氏 福岡で面白いと感じるのは、コミュニティ同士が結構仲がいいと思う点です。違うジャンルでクロスするようなところがあって、いろいろ参加して刺激も得られますね。また、福岡は住みやすいです。街がコンパクトで、必要なものが揃うし、飲食店のレベルが高い。コミュニティ的にも人とのつながりが強い。こんな風に市からのインタビュー受けるのも、福岡ならではかなと思います。

-今後の目標は?

近藤氏 そうですね、自分にしかできない仕事をしたいと思っています。今、コンテナやクラウドネイティブの潮流に非常に興味を持っていて、そういう技術に近いセキュリティ周りと、コンテナを中心に深掘りしていって、よりシステム側で役に立つオープンソースを作っていきたいなと思っています。

-今後も福岡での活躍を期待しています。

近藤氏 そうですね、やるからには楽しく生きていきたいです。僕にとって楽しいというのは人との繋がりが大きいので、そういった環境に身を置けるのはうれしいです。福岡で、引き続き盛り上がっていければと思います。

近藤 宇智朗(こんどう・うちお)さん略歴

2008年に東京大学文学部を卒業。新卒で株式会社BCNに入社、マスコミに入って記者になるはずが社内SEとして最初のエンジニアキャリアを始める。
その後、Rubyに出会い、2010年に富士山マガジンサービスに転職。本格的にWebサービスに携わり始める。
富士山マガジンサービスでRuby on Railsの経験を積み、東京のRubyコミュニティに出没し始める。Rubyコミュニティの熱気に影響され、OSSへのコントリビューションも始める。
2012年に株式会社Aimingに入社、Rubyによるサーバサイド(Rails、Padrino)やUnityでの開発に従事。
その後、子供の誕生を契機に福岡にIターン。2013年より株式会社paperboy&co.(現GMOペパボ)技術基盤チームに所属し現在に至る。全社の技術的課題の解決のため、基盤整備、ミドルウェア開発、OSSの開発、エンジニア教育、現場の火消し、などに奔走する。

OSSプロダクト
* yao (OpenStack APIライブラリのRubyラッパーの実装)
* Haconiwa (mrubyを組み込んだ柔軟で制御性が高いコンテナランタイム実装)

登壇実績・コミュニティイベント開催
* RailsGirls Fukuoka #1 オーガナイザー 2015年7月
* RubyWorld Conference 2015年11月
* RubyKaigi 2016年9月
* 福岡Ruby会議02 実行委員長 2017年12月
* RubyKaigi 2018年6月
* 九州セキュリティカンファレンス 2018年9月
* JapanContainerDays 2018年12月(予定)

受賞履歴
* 2017年3月 第9回フクオカRuby大賞(Haconiwaの開発)

その他のエンジニア
インタビュー