INFORMATION

AWARD REPORT

課題に向き合い、時代をひらく福岡のエンジニアの力|EFCアワード2025レポート②

プロダクト部門LT、企業賞LT、特別賞LT

2025年12月5日(金)に、福岡市のエンジニアカフェにて開催された「Engineer Friendly City Fukuoka AWARD2025」の模様を、3回に分けてお伝えします。
第2回はプロダクト開発部門、企業賞、特別賞の受賞者によるLTです。

【テクノロジーの可能性を広げるプロダクトを創る、プロダクト開発部門】

声を出さずに伝えられる読唇術通話アプリ「Nois」を開発した「AIEL」

読唇術を活用し、声を出さずに口の動きだけでメッセージを伝えられる通話アプリ「Nois」を開発した「AIEL」。唇の動きを正確に読み取るための精度向上や日本語特有の発音パターンの分析といった改善への熱意や高い技術力が評価され、プロダクト開発部門に加えパソナ賞とアジアクエスト賞を受賞しました。

メンバーは白神晴陽さん、東流生さん、関美優さん、内野愛美さんの4人。通話のための処理やリップリーディングの機械学習など、初めて触れる領域が多く、学びながらの開発だったといいます。EDD終了後も、ユーザーごとの口の動きを学習する機能など、認識精度向上のための開発を継続。UIの改良や3Dプリンターを用いたマスク型デバイスの再設計も行いました。

東さんは「今回得た技術を活かし、今後も社会のさまざまな課題を解決していけたら」と意気込みを語りました。

次世代型タイマーアプリを開発した「SelfPomodoro」

AIやアルゴリズムを活用し、ユーザーの集中度に合わせて「作業・休憩サイクル」を調整する次世代型タイマーアプリを開発した「SelfPomodoro」。短期間で改良を重ねた対応力と高い技術力が評価されました。メンバーは黒石陽夢さん、李方信さん、砂本大河さんの3人。

同名のアプリは、作業25分・休憩5分を繰り返すことで生産性を高める「ポモドーロ・テクニック」をベースに開発。各サイクルに最適化アルゴリズムを組み込み、ユーザーの集中しやすい時間や傾向を学習することで、一人ひとりに合ったタスクサイクルやワークフローを提案できる点が特徴です。一次審査でのコスト面の指摘を受けて、シンプルな設計へと改善も行いました。

実際に使ってみたところ、満足のいくサイクルが確立できたといいます。黒石さんは「今後は機能をさらに充実させ、翌年1月までにリリースしたい」と展望を語りました。

種まき初心者を助けるスマホアプリ「たねすけさん」を開発した「チームTANAKA」

家庭菜園初心者が陥りがちな、種のまき忘れや期限切れ、記録漏れを防ぐスマホアプリ「たねすけさん」を1人で開発した「チームTANAKA」。EDDでの交流を通じて成長し、初めての開発ながら完成度の高さが評価されました。

早めに購入した種をまき忘れたり、期限切れで発芽しなくなったりといった、田中瑞穂さん自身の経験が開発のきっかけ。アプリに種袋の写真を読み込ませることで、手持ちの種を一覧で管理できます。時代劇風の言葉遣いで通知を行う「たねすけさん便り」では、まき忘れの防止や相性の良い作物の提案なども行います。

「今後は、レシピ管理をする『あじすけさん』や、コンサートの記録をする『げきすけさん』など、シリーズ化して発展させていきたい」と語りました。

災害時でも人とつながれて安心できるアプリを開発した「ANSLIN(アンシリン)」

災害などでインターネット通信が使えない状況でも連絡を取り合えるアプリを開発した「ANSLIN」。EDDを通じた成長に加え、高校1年生ながら、仕組みの理解と設計力が必要で生成AIに頼りにくい「通信」の領域に挑戦している点が評価されました。

メンバーは川上兼世さん、西坂慶太さん、坂井佐輔さんの3人。通信インフラがダウンした際でも、Bluetooth通信を使ってスマートフォンの端末同士をつなぐことで、インターネットに依存しない遠距離チャットを可能にしました。自治体との双方向の情報伝達やSNSのような機能も備えています。

開発ではBluetooth通信の不安定さに苦労しながらも、最終的には50文字の安定したメッセージの通信を実現。位置情報の送信には地図を使わず、方位と距離のみを表示するなど、オフライン利用を前提とした工夫も施しました。

「身近な仕組みでも、人の安心を支えるアプリが作れると実感できたのは大きな収穫。将来的には実用化までつなげたい」と、今後への意欲を語りました。

【企業が独自の視点で選定したEngineer Driven Day企業賞】

<GMOペパボ賞>

3Dモデルで気軽に会話できる「V-Chat」を開発した「完熟マンゴー」

3Dモデルを使い、Web上で気軽に通話できる新しいコミュニケーションアプリ「V-Chat」を開発した「完熟マンゴー」。技術の力で、対話の心理的ハードルを下げている点が評価されました。

メンバーは、福岡工業大学の情報技術研究部に所属する和泉瑠生さん、佐野優人さん、魚住紘平さんの3名。VRを用いた会話サービスは他にもありますが、「V-Chat」はWebアプリのため、少ない手順ですぐに体験できるのが特徴です。機能をアプリ上の会話に絞り、操作をできるだけシンプルにすることで、パソコン操作に慣れていない人でも気軽に体験できるよう工夫しています。

1週間後に発表を控えているという九州の学生のための育成型アプリコンテスト「チャレキャラ」に向けて機能改善を進めながら、「VRは難しいと感じている方や、パソコンに慣れていない方でも、気軽に楽しんでもらえるアプリのリリースを目指して頑張っていきたい」と話しました。

<ラッコ賞・ライブリンクス賞>

患者同士と医師をつなぐ医療コミュニティアプリを開発した「Care Ring」

患者同士や医師がつながる医療コミュニティアプリを開発した「Care Ring」。社会的意義を意識した開発姿勢や、利用者に寄り添ったコンセプト、リスクへの対応などが評価され、ラッコ賞とライブリンクス賞を受賞しました。

アプリでは、体調や症状について投稿・相談できるほか、医師が投稿やコメントをすることができます。安心して情報の共有を行えるよう、医師の利用にはマイナンバーや医療資格証明の登録を必須とし、誹謗中傷など不適切な表現を事前に検知して修正を求める仕組みも導入しました。

開発のきっかけは、日本循環器学会で高校1年生の安藤久稀さんが発表したアプリのアイデア。開発の経験はなかったものの、同じく発表者だった内山大輔さんと出会い、今回の参加となりました。

「患者さんが疑問や不安を投稿すると、闘病者や寛解した人、医療従事者などにコメントをもらえる、そんな暖かいコミュニティを築きます。このアプリを実現し、病気に立ち向かう全ての人を応援したい」と今後への意欲を語りました。

<エクシーズ賞>

日陰の多い徒歩ルートを教えてくれる「日影ナビ」を開発した「フッジー」

日陰の多さを考慮した徒歩ルートを提案するWebアプリ「日影ナビ」を開発した「フッジー」。真夏に誰もが感じる「日陰を歩きたい」という思いを、公共のオープンデータを活用して形にした点が評価されました。

メンバーは藤嶋和紀さんと藤田莉緒さんの2名。
開発を始めたのは、35℃を超える日も珍しくなかった夏の盛り。外出するだけでも大変だと感じたことから、暑さに向き合うプロジェクトを考えたといいます。

天神・大名・博多駅エリアを対象に、GIS(地理情報システム)やオープンデータを活用して、建物の影をリアルタイムで計算。出発地から目的地までのルートを、所要時間と日陰の割合を比較して複数表示します。時間帯による日陰の変化も反映されます。

「目指しているのは、夏の外出をより快適で健康的なものにすること」とメッセージを寄せました。

【Engineer Driven Day特別賞】

福岡の祭りの熱気を体験できるゲーム「おみこしレーシング!!」を開発した「チームまっしろ」

スマホを接続したコントローラーを使い、オリジナルのおみこしでレース体験ができるゲームアプリ「おみこしレーシング!!」を開発した「チームまっしろ」。福岡の伝統的な祭りである博多祇園山笠を、誰もが気軽に疑似体験できるゲームとして表現し、福岡ならではの魅力を身近な形で広く届けている点が評価されました。

開発のきっかけは、峯苫幸多さんが鹿児島からの出張中にEFC主催のイベント「生成AIドリル」に参加したことと、博多祇園山笠を見て強く感動したこと。祭りを再現するものを作ってみたいと思い立ち、ゲーム制作に挑戦したといいます。

限られた時間の中で不安を抱えながらの開発でしたが、「懇親会で周囲とアイデアや悩みを話せたのが本当に楽しくて、どうにかやってこれた」と振り返ります。

今後については、「祝い歌をアレンジしたリズムゲーム化や、イベント向けの新たな展開にも挑戦したい」と語りました。