福岡から全国へ! 広がるエンジニアの力 | EFCアワード2023レポート2
2023年12月3日(日)福岡市のエンジニアカフェにて開催されたイベントのEngineer Friendly City Fukuoka AWARD2023の模様を、3回に分けてお伝えします。
受賞者一覧はこちら https://efc.fukuoka.jp/award2023/
イベント動画配信はこちら https://youtu.be/6H_hIv0fTFs
第2回はプロダクト開発部門とEngineer Driven Day 企業賞の受賞者、エンジニアビザ認定企業によるLT(プレゼン)です。
【テクノロジーの可能性を広げるプロダクトを創る、プロダクト開発部門】
誰でも簡単に振付可能! 振付生成AIサービスを開発した「生成AIチーム」
「生成AIチーム」は、振付生成AIサービス「最強AIダンサー」を開発。高い技術力や今後の発展性も含めてビジネスに繋がりそうな将来性が評価されました。
最強AIダンサーは、音源をアップロードすると自動で振付を生成してくれるサービスです。アニメーターやダンサーが振付を作るプロセスを自動化することによって、誰でも気軽に、安価に利用可能。460ものプロダンサーの振付を学習していて、さまざまなジャンルの音楽に対応しています。
授賞式を前に福岡市のSTARTUP ELITE(急成長を目指す起業家輩出プログラム)に合格し、社会実装を進めているそうです。メンバーの芝原隼人氏は「今後は、J-POPやK-POPダンスも生成したいし、オンライン上でシェアできるような仕組みも作りたい。そのために動画から学習データを手軽に作れる仕組みを開発中です」と話しました。
好きな曲を共有・発見できるアプリを開発した「手羽先研究所」
「楽曲データ+AIを用いた好み検索アプリ」という音楽検索アプリを開発した「手羽先研究所」。若い世代からの支持を集め、ニーズがありそうなコンセプトや開発への熱意が評価されての受賞です。
開発者はN高等学校3年生の秋穂正斗氏。カラオケが趣味で、好きな音楽を友達と共有しにくい、好みの曲が見つけられない、といった悩みが開発の起点になったと言います。実際にアプリを体験できるQRコードを提示しながら、自分の好きな曲の追加やおすすめの曲の表示、他ユーザーの好きな曲との比較などの機能を紹介しました。
開発の過程で、それまであまり参加してこなかったハッカソンなどのコミュニティに参加したという秋穂氏。そこで得た縁や知識も多かったと言います。今後は「楽曲情報の読み込みを簡易化したり、SNSのようなフォロー機能を作ったり、新たな機能を追加して、将来的にはユーザー数1万人を目指したい」と語りました。
手話を認識する通話アプリで社会課題を解決する「JSL」
「AIで手話を認識するアプリ~JSL~」は、手話と音声を認識して文字に起こすことで、聴覚障害者と健常者がリアルタイムで対話できるアプリです。手話の認識だけでなくチャットも作成している新しさや、複数人の手話も認識できる点が評価されました。企業賞(トラコ賞・PFU賞)も同時に受賞しています。
聴覚障害者はコミュニケーションが限られることから、健常者に比べ情報格差や社会参加機会の減少が生じてしまいます。その状況を問題視し、聴覚障害者の世界を広げる手助けをしたいという想いから開発に至りました。会議の場や行政の窓口、教育機関などに導入されれば、問題解決の一助になることが期待できます。
課題は、会話で使う多数の手話の語彙をカメラで学習させるには膨大な時間が必要なこと。その解決のため、ユーザー自身がシステムに手話を教える機能を考えているそうです。メンバーの羽立蓮氏は「今後は初心者に向けてのチュートリアル機能や健常者が手話を学ぶ機能、手話に関する情報を共有できるフォーラム機能を設けたい」と展望を語りました。
HPを可視化するアプリを開発した「カルスト地形とリアス海岸」
「カルスト地形とリアス海岸」が作ったのは、HPを可視化するアプリ「your Hit Point」。
チームメンバーのほぼ全員が初心者からスタートしてプロダクトを作り上げた成長力や、コンテスト全体を通してプロダクトをアップデートし続けた点が評価されました。
「your Hit Point」は、ゲームのHPの概念を現実で表現したいという想いから開発。自分のHPの測定や他の人と共有でき、飽きずに使えるようにペットを育成する要素も取り入れています。短期的な疲労度をHPの数値とそれに連動したペットのアバターの状態で表し、長期的な健康度は健康レベルとして表示。それぞれの値は、論文等から導き出した数値や計算を元に定義しています。
メンバーの深江友貴氏は「今後は動的な画像生成やHPのウェアラブル表示、予測値をユーザーに最適化することやフレンド機能の拡張を視野に入れています」と締めくくりました。
【企業が独自の視点で選定したEngineer Driven Day企業賞】
バリアフリールート共有アプリを開発した「学生アプリ開発団体Divers」
「学生アプリ開発団体Divers」は、「車椅子の方々が街に出かけにくい問題」の解消に取り組む団体です。その想いの強さと技術が融合して作られた、バリアフリールート共有アプリ「Divers Map」の開発と、社会実装に向けて積極的に取り組んでいる姿勢が評価されました。
「Divers Map」は、実際に安全に通れたルートを投稿し、共有・閲覧することができるアプリです。自身も車椅子の利用者である代表の内山大輔氏は、「車椅子だとちょっとした段差でも怪我をしてしまう。全ての車椅子利用者が怪我なく安全に道を通れるようにしたい」と話しました。
アプリの品質向上や今後の普及はルート情報の数次第です。投稿数を増やすため、点字ブロックの活用を検討中。点字ブロックの設置にはバリアフリーの基準を満たす幅が必要なため、ブロックがある道はある程度通りやすく、車椅子やベビーカー利用者でなくても投稿が可能となります。そうした道の情報を追加するため、点字ブロックを自動判別するシステムを構築しているそうです。
他にも福岡市役所周辺のルート調査や、Android版・iOS版の正式リリースを視野に入れているほか、2024年1月下旬にはルートを集める街歩きイベントも開催する予定です。
【エンジニアビザ認定証交付式】
エンジニアビザ認定企業第1号、グローバルに活躍する「VMO Japan株式会社」
エンジニアビザは、福岡市が日本で初めて設けた制度です。海外からエンジニアを呼ぶ際の在留資格の審査期間を短縮でき、優秀なエンジニアの早期入国が可能となります。ソフトウェアの開発を手掛ける「VMO Japan株式会社」が、認定企業第1号となりました。
本社のあるベトナムから世界中のお客様のITニーズをサポートしているほか、ベトナム国立大学と連携してIT人材を育成したり、アメリカ外務省や大学と連携して気候変動起業家連合を発足するなどイノベーションハブの推進も行っている企業です。
日本では2023年5月に福岡にオフィスを設立し、各種セミナーを開催して地域貢献にも取り組んでいます。福岡県在住の大学生が実際のITプロジェクトに参加できる4ヶ月のインターンシップ「福岡インターンプログラム」も実施。プログラムの特徴は、英語でのコミュニケーション、多文化・グローバルな環境、最新技術適応案件へ参加できること、の3つ。
今回のLTを行った松口敬光氏は福岡大学商学部の3年生です。インターンとして、顧客との取引の場やセミナーでプレゼン経験を重ね、自ら志願して登壇しているそうです。松口氏は「デジタル化が進む社会に対してAIやDXなどの技術を活用して貢献するとともに、福岡では現地協力を重視して地域貢献にも取り組んでいきたい」と会社の展望を述べました。