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AWARD

福岡から全国、そして世界に羽ばたくエンジニアを! 第3回エンジニアフレンドリーシティ福岡アワード 授賞式&受賞者の声


年末の恒例イベントのエンジニアフレンドリーシティアワード表彰式。
3回目の今年は、2021年12月4日(土)、福岡のエンジニアカフェで開催されました。
エンジニアの成長や働きやすい環境づくり、幅広い活躍を促した、4団体と5企業の取り組みと受賞者のコメントをお伝えします。


【コロナ禍でも活発さを失わずエンジニアの成長をサポートした、コミュニティ部門】

XRを楽しむ! みんなで作るコミュニティ「福岡XR部」


「XR好きが集まる部室」がコンセプトのコミュニティ「福岡XR部」。
コロナ禍でも活発な活動を続け、初心者でも参加しやすい運営で、さまざまな職種の方の交流に繋げている点が評価されました。

XRとは、VR(Virtual Reality)、AR(Augmented Reality)、MR(Mixed Reality)などの技術の総称です。エンジニアに限らず、デザイナーやスタートアップ経営者、学校の先生など、属性や職種を問わず、XRに興味のある人なら誰でも参加OK。
参加者がやりたいことを気軽に提案して実行できるようにという方針のもと、話したり、作ったり、試したり、活動内容は多岐にわたります。広い空間でのVR体験はどのようなものか、体育館を借りて試したことも。
コロナ禍でオンライン活動が中心となってからも、VR空間にイベント会場を再現してみるなど、リアルとバーチャルを繋げる試みをしながらイベントを続けています。

代表の長峰慶三氏は「楽しむことを一番の目的にしているコミュニティです。技術だけでなく、XRを使ってできることに興味がある方であればどなたでも来ていただきたい」と語り、いつも参加してくれるメンバーへの感謝で締めくくりました。

 

使う人から作る人へ、学生の育成に力を入れる「九州アプリチャレンジ・キャラバン」

学生の育成型コンテストを運営する九州アプリチャレンジ・キャラバン(通称チャレキャラ)。
九州の学生が、無料で現役エンジニアのサポートを受けながらモノづくりができるイベントです。長年に渡り学生のスキルアップに貢献し、卒業した学生がメンターとして運営に加わるシステムが評価されての、今回の受賞となりました。

発足からおよそ8年、最低月1回、年中イベントを開催。
活動のメインイベントはコンテストですが、その後毎月、作成したアプリの改善フェーズに入ったり、現役のエンジニアとの面談をしたりする機会を設けています。
協賛企業や参加学生はどんどん広がっており、現在は1,000名程度の学生が参加。

代表の石井匠氏は、「モノ作りをしてみたいけど授業の中でやったことがある程度、という学生が増えている。チャレキャラでは『使う人から作る人へ』をテーマとし、実践のキッカケになるようなコミュニティやイベント運営を目指しています」と語りました。

 

子どもの自主性を大事に、将来のエンジニアを育てる「CoderDojo福岡」

子ども向けのプログラミング・テクノロジー探究の場を提供しているCoderDojo福岡。
小学生が主な対象です。子どもたちが自分で考えることを大切にして活動し、将来のエンジニア育成に貢献している点が評価されました。

CoderDojoとは、2011年にアイルランドではじまった「無料、ボランティア主導、コミュニティベースの若者向けプログラミングクラブのグローバルな活動」です。世界で2,000以上、日本でも200以上の道場があります。
プログラミング教室との違いは、参加する子ども(Ninja:ニンジャ)が自主的に活動すること。相談する人(Mentor:メンター)はニンジャの活動をサポートする役割を担います。

活動の様子を撮った映像を交えながら、代表の高丘 和宏氏は「毎回その日にやったことを発表してもらう時間を設けています。そこで子どもたちはプレゼンテーションの経験を積み、ほかの子の活動を見て刺激を受けています。最近はzoomと会場を併用して開催しているので、ぜひ遊びに来てください」と述べました。

 

イベントは毎年盛況! 九州のゲーム業界を盛り上げる「CEDEC+KYUSHU実行委員会」

日本国内最大のゲーム開発者向けの技術交流会CEDECを、九州で行なう「CEDEC+KYUSHU実行委員会」。
主に九州で活躍するコンピュータエンターテインメント開発者に対して、最新の技術や事例などの情報提供、開発技術の向上、コミュニティ形成を目的とし、2015年から開催しています。
イベントは開催当初から非常に盛況。毎年大規模なイベントを開催し、クリエイターのスキルアップやコミュニティの形成に寄与している点が評価されての受賞となりました。

豪華なゲストや地元企業の講演、若年層クリエイター育成のための学割チケット、公募セッション枠の設置など、さまざまな試みをしています。2020年からはコロナの影響でオンラインに場所を移しましたが、盛況ぶりは変わらず。

委員の山倉千賀子氏は、「九州のクリエイター達の技術力向上を目指してきたが、これからは九州から全国のクリエイター達へ技術力向上のために情報を発信していきたい」と話しました。

 

【エンジニアが働きやすい環境と新たな可能性を広げる、企業部門】

学生ファースト、宿泊付きハッカソンを開催する「株式会社ハックツ」

イベント事業、受託開発、自社開発の3つを主な事業とする「株式会社ハックツ」。
学生を対象としたハッカソンを多く実施し、アウトプットの場を継続させるなど、学生のスキルアップに貢献している点が評価されました。

代表取締役の湯舟武龍氏は、コミュニティ部門を受賞した「九州アプリチャレンジ・キャラバン」出身です。そこで知り合った学生と、2018年に起業しました。
学生エンジニアとしての自身の経験から、「学生が輝く環境を創り、今以上に楽しめる世界にする」というビジョンと、「学生たちをクリアにする」というミッションを掲げています。
特にこだわっているのが、宿泊付きのハッカソンです。これまで開催した12回はいずれも満員で、リピーターも多数。ハックツの社員もすべてハッカソン経験者のエンジニアです。

「福岡市をもっと学生エンジニアにとってフレンドリーな場所にしたい」と話した湯舟氏。
福岡市には、宿泊できるハッカソン会場が少ない現状を伝え、「宿泊ができるプログラミングの学び舎を福岡市に創りませんか?」と呼びかけました。

 

男性育休取得率100%! 働きやすさにとことん配慮した「株式会社マネーフォワード」

日本各地とベトナムにも拠点のある「株式会社マネーフォワード」。
法人、個人、金融機関向けに、さまざまなサービスを提供しています。社内表彰制度によるモチベーション向上の取り組みや、男性の育児休業取得率の高さなど働きやすい環境づくりが評価されました。

サーバーサイドエンジニアの村木彩里氏は、福岡愛に溢れる福岡拠点の良さを4つ挙げました。
ひとつめは「家族愛」。男性育休取得率はなんと100%。家の都合で休みを取ったり早退したりすることが日常的にあり、育休も取りやすい環境だと言います。社員同士もファミリー感が強く、コミュニケーションが円滑なため、スピード感のある開発に繋がっています。
2つ目は「国際化」。新卒のグローバル比率は6割を超え、エンジニア組織の完全英語化も決定しています。
3つ目は「ポテンシャル採用」。「愛と勇気と根気さえあれば」挑戦できる環境、と言います。
最後に村木氏は、「『Move Forward』(大胆に動こう)が福岡拠点のコンセプトです。 福岡拠点はエンジニアだけでなく、アグレッシブなビジネスのメンバーが隣り合わせで働いていることも特徴のひとつ。フィンテックはレガシーな金融サービスを変えていく挑戦です。我々は、テクノロジー×ビジネスで新たな化学反応を起こしたいと思っています」と述べました。

 

ほかのゲーム会社がやらないことをやる「株式会社サイバーコネクトツー」

家庭用ゲームソフトの開発に特化している「株式会社サイバーコネクトツー」。
スキルに関するセミナーや書籍の発刊、インターンシップ事業などによるゲームクリエイターの育成に積極的に取り組んでいる点が評価されての受賞となりました。

わずか10人で始めた会社も、25周年を迎える今は3拠点で300人近くが働いています。
ほかのゲーム会社との違いは、「あいさつをしっかり。他ができていないところをちゃんとやること。あとは人数が多いので、スリーマンセル(3人1組)の管理構造にしています。当然ながら、泊まり禁止・遅刻もNG。年1回の社内アイデアコンペ、年10回以上の社内勉強会も開催します。そして他社が軒並み中止にしているインターンシップをわが社は実施しています。おかげで採用は順調です」と代表取締役の松山洋氏は話しました。
開発環境の整備にも取り組んでおり、3拠点の強力な連携による共同開発、ワンフロアの開発室、定期購読媒体などを閲覧できるライブラリを設置。松山氏の趣味でもある漫画や映画が揃うライブラリは、社員間のジェネレーションギャップを埋めることにも一役かっています。
「横のつながりや勉強会などもウェルカム。一般向けの会社見学もやっていますので、これからも皆さんよろしくお願いします」と締めました。

 

「やりたいこと」を「できる」に変える、「さくらインターネット株式会社」

1996年創業、クラウドコンピューティングサービスの提供をしている「さくらインターネット株式会社」。
勤務場所の選択や勤務時間の短縮を社員の判断に任せるなど、働き方の柔軟性が高いことや、コミュニティイベントへの支援を積極的に行っている点が評価されました。

社員、お客様、エンジニアなど、すべての人の「『やりたいこと』を『できる』に変える」という企業理念のもと活動しています。
福岡オフィスは2017年に開所。さぶりこ(Sakura Business and Life Co-Creation)と称する制度を設けることで、働きやすさを実現しています。
さぶりことは、「会社に縛られず、広いキャリアの形成やプライベートも充実させ、その両方で得た知識や経験をもって共創へつなげること」。勤務時間や勤務場所を自分で決められる制度を活かし、社長は一番遠い沖縄に住むことになったそう。
外に向けては、エンジニアコミュニティ向けにイベントスペースの無償提供やその開発環境のサポートもしています。2021年夏からは、福岡に来るエンジニア向けの支援もスタートさせ、福岡市が進める福岡型ワーケーション(W@F:ワフ)に参画。

社長室室長の櫻井裕氏は「私たちはやりたいことをできるに変える会社なので、いろいろな拠点の方に福岡に来ていただくことも、どんどん支援させていただきます」と話しました。

 

社会課題の解決にエンジニアの力を生かす「アークエルテクノロジーズ株式会社」


「社会課題をエンジニアの力で解決する」をテーマとしている「アークエルテクノロジーズ株式会社」。
学生インターンに実践的なDXの現場でチーム開発の経験を積ませるなど、学生育成に貢献している点が評価されました。

「デジタルイノベーションで脱炭素社会を実現する」を理念としています。具体的には、EV充電のマネジメントシステム開発。再生可能エネルギーを効率的に使えるようにするエネルギーマネジメントシステムを作っています。
営利活動と並んで取り組んでいるのが環境活動。ビーチクリーンや植樹活動のほか、今夏には「第1回九州の自然を守ろう 小学生SDGs作文コンテスト」を開催しました。

代表取締役の宮脇良二氏は、自分で読むと泣いてしまいそうだというコンテストの作品を、朗読入りの動画で紹介。ビーチクリーンを続ける女の子の作文を聞いたところで宮脇氏は「社会課題を解決し、未来を子どもたちに残そうという志でやっています。そのためにエンジニアの力を使っていきたい」と締めくくりました。

 

取材・文 : 寺田 香澄